自己免疫性疾患での妊娠、出産について

こんにちは、Kです。

今日は妊娠中の薬物治療について参考になる資料をご紹介していきます。

「全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、若年性突発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針」です。インターネットで閲覧可能です。

自己免疫性疾患では、ステロイド、免疫抑制剤、抗体薬品などを使用する可能性がありますよね。それらの薬剤の安全性について記載してくれています。

禁忌

一般の出生児における先天性疾患の頻度は3-5%であり、薬剤による催奇形性の頻度がこの3-5%よりも上昇するかが問題となります。下記に一部ですがご紹介します。詳しくは治療指針の本文をご覧ください。

メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル

ヒトでの催奇形性が報告されているため禁忌です。

※メトトレキサート
流産率の増加(流産率:妊娠初期曝露群42.5 %, 非自己免疫疾患対照群17.3%)
催奇形性率(大奇形率:妊娠初期曝露群6.6%,非自己免疫疾患対照群2.9%)

レフルノミド、ミゾリビン

動物実験で催奇形性が示されており、ヒトでのデータが乏しいので使用しません。

NSAIDs

妊娠後期で胎児の動脈管早期閉鎖の可能性があるため禁忌です。

投与が許容される薬剤

2016年に発表されたEULARのガイドラインではヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン、アザチオプリン、シクロスポリン、タクロリムス、コルヒチンなどの治療薬は、現時点では安全性が示されており、寛解維持のため妊娠中も中止せず、継続すべき薬剤に分類されています。ただし、日本の添付文書では禁忌になっているものもあるので添付文書改訂まではインフォームドコンセント(IC)が必要です。

 

グルココルチコイド(ステロイド)に関してプレドニゾロンは胎盤通過性が低いため推奨されます。グルココルチコイドはプレドニゾロン換算で15mg/日までで管理されていることが望ましいです。

ただし、口唇口蓋裂が僅かながら上昇するという報告があります。このリスクについて通常口唇口蓋裂の発症頻度は、500人に1人ですが、妊娠初期にプレドニゾロンを使用した場合に、口唇口蓋裂の発症頻度が500人に約3人に上昇する程度です。

プレドニゾロンの高用量(1mg/kg/day以上)投与の場合は、糖尿病や高血圧、妊娠高血圧腎症、37週未満の前期破水のリスクを上昇させる報告もあるとのことです。

実際に患者さんからインフォームドコンセントを取るのは医師ですが、こういう情報を提供し患者さんが納得したうえで治療がすすめられるようにできたら良いですよね。

まとめ

いかがでしかた?ごく一部の紹介ですので、ぜひともこの治療指針はチェックしていただきたいです。

私は消化器担当で、妊娠中の患者さんで潰瘍性大腸炎の憎悪によりステロイド治療を行っていた方を担当したことがあります。そのときにこの治療指針が役立ちました。少しでも不安を取り除けるよう、薬剤師として患者さんの力になれたら良いですよね。

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