お久しぶりです、Kです。個人的に引越しをしたりで忙しく、ブログの期間があいてしまいました。
今日は、抗血栓薬以外にも休薬が必要な薬剤のひとつとしてSGLT2阻害薬についてお話ししていこうと思います!実はお恥ずかしながら最近仕事中に質問されて知りました…
SGLT2阻害薬の復習
作用機序
近位尿細管でのグルコースの再吸収を抑制することで尿糖排泄を促進し、体重減少効果が期待できます。
SGLTは、Naが細胞外から細胞内へと濃度勾配により輸送される際に、グルコースなどの単糖類を濃度勾配に逆らって細胞内へ輸送する輸送単体ですね。1日約180gのグルコースが糸球体で濾過されるものの、SGLT2により約90%が、SGLT1により約10%が再吸収されます。
副作用
脱水・頻尿・多尿
尿中に糖が排泄されるため、尿路感染症および性器感染症(特に女性)が発現しやすいです。また、糖尿病自体が頻尿・多尿を引き起こしやすい疾患ですが、SGLT2阻害薬服用中は水分摂取状況や排尿回数の確認が重要ですね。
他にも薬疹には注意が必要です。また、FDAより壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)に関する安全性情報が発出されており、日本の添付文書にも反映されています。
SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation
「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」が作成しているもので、インターネットで閲覧可能です。今回は内容の紹介は行いませんが、SU薬との併用時や、脱水やシックデイについてなど有用な情報が記載されていますのでぜひ一度ご覧ください♪
FDA(Food and Drug Administration, アメリカ食品医薬品局)
それでは本題です。2020年3月、FDAがSGLT2阻害薬の術前の中止に関する添付文書の変更を承認したとのことです。
- カナグリフロジン(商品名:カナグル)、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)、エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)は手術3日前に休薬すること。
- エルツグリフロジン(日本未承認)は手術4日前に休薬すること。
- SGLT2阻害薬を休薬後は血糖値を注意深くモニタリングし、術前までに適切に管理すること。
- 術後は患者の経口摂取が元の状態に戻ってから、また、ケトアシドーシスのリスクがないと判断された場合に再開すること
※糖尿病性ケトアシドーシス
インスリン分泌が十分でないとブドウ糖をエネルギー源として使うことができず、体は予備のメカニズムに切替えます。脂肪細胞が分解されることでケトン体が産生されエネルギーを供給しますが、血液を産生に傾けてしまいます(ケトアシドーシス)。症状は強いのどの渇きと頻尿、体重減少、吐き気、嘔吐、疲労など。
まとめ
いかがでしたか?
これまでは術前に中止が必要な日数について明確な記載がありませんでしたよね。これから日本の添付文書も変更される日がいつかはくるのでしょうか?
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