薬剤師の仕事は調剤だけではなく、多岐にわたります。その中でもあまり知られていないのが手術室での薬剤師の役割なのではないでしょうか。
私が学生の頃には、病院実習で数時間だけ手術室の業務を除く機会がありましたが、結局何をやっているのかよくわからず…
勤務先にもよると思いますが、私の職場では以前は少数精鋭でやっていたのですが、現在はセントラル業務として多くの薬剤師が手術室業務を行っていますので、ぜひ紹介したいと思います!
手術室の薬剤部とは
手術室で使用する薬剤にしぼって薬剤が在庫されています。
特徴的なものとしては、静脈麻酔薬、吸入麻酔薬、筋弛緩薬、向精神薬、カテコールアミンなどでしょうか。もちろん一般薬も在庫しています。例えば抗生剤、ステロイド、抗ヒスタミン薬、消毒薬などなど。
普段の調剤室や注射業務では見かけない馴染みのない薬剤もありますね。例えば、止血剤(サージセル®)や組織接着剤(ベリプラスト®)などでしょうか。
手術室では主に麻酔科の医師が薬剤投与を行っていきますので、麻酔科医師との関わりが主です。また、看護師さんも必要薬剤の準備のためにいらっしゃいます。
医薬品の適正な管理
薬剤師が手術室にいる意味とは、まさに医薬品の適正管理といえます!
厚生労働省が薬事法などの法律に則り取り扱いの手引きを定めています。
全身麻酔で使用した薬剤、静脈麻酔、筋弛緩薬、向精神薬などは、未使用の薬剤のみならず空アンプル・空バイアルも返却してもらい、管理を徹底しています。
私の施設では午前と午後で1日2回は帳簿と在庫数が一致しているかを確認しています。
こうすることで医療従事者による不適正使用を防ぐわけです。
たまに研修医が空バイアルをゴミ箱に捨ててしまうことがあるので、慌ててゴミ箱を探しにいって見つけにいきます…
また、MEさんへの吸入麻酔薬の払出も行っており、それらについても適切に返却されたことを確認します。
手術中に使用する薬剤を事前に用意
①麻酔科医師が使用する薬剤の基本セット
麻酔科と薬剤部で相談して決めた薬剤が入っている。カテコールアミンなどなど、1手術につき1つ払出
②術式毎の薬剤セット
消毒薬、止血剤などなど
③術中投与の抗生剤など
主科がオーダー、投与は麻酔科医です。抗生剤アレルギーがある場合は、病棟担当の薬剤師と連携して変更してもらいます。
1日の流れ
- 朝、看護師から引き継ぎをうけます。前日分の未返却薬剤がすべて返却されているか確認。
- 麻酔科医が基本セットや全身麻酔薬・静脈麻酔薬などを取りに来るので払出対応
- 先ほど書きました重要薬についての在庫チェック①
- 午前中の手術が終わったら基本セットが戻ってくるので適宜充填、麻酔薬の返却確認
- 午後分の基本セットや麻酔薬払出対応
- 翌日分の薬剤準備
- 重要薬の在庫チェック②
- 終わっていない手術の未返却薬剤について看護師に引き継ぎ、重要薬剤の在庫数確認
ざっくりこんな感じです。
まとめ
施設ごとで業務が多少異なるかもしれませんが、いかがでしたでしょうか。
手術室といえば外科医!というイメージですが、薬剤師も縁の下の力持ちとして業務を行っています。薬剤の適正管理の面で、とても責任のある仕事ですね。
麻酔科医やMEさんなど、普段お話できない職種と関わることができるのも魅力の一つです。
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