B型肝炎と薬剤師の関わり方

こんにちは、Kです。今回はB型肝炎に関して薬剤師が介入できるポイントを紹介します!

私も学生の頃にB型肝炎について学びましたが、実臨床と結びつかなくて理解できなかったんですよね…。

HBs抗原(HBsAg):現在感染中
HBs抗体(HBsAc):過去の感染を意味する,HBVワクチンの接種後
HBc抗体(HBcAc):過去の感染を意味する(通常HBs抗体も陽性)

他にもHBe抗体も習いましたが,実臨床で測定されているのは上の3つです…で、どういう意味?と思いませんか??B型肝炎の知識が実臨床ではどのように応用されているのか紹介していきます。

B型肝炎と化学療法・免疫療法

薬剤師として介入できそうなポイントというのは、免疫抑制剤や化学療法治療時です。B型肝炎治療ガイドラインというのはご存知でしょうか?

血液悪性疾患に対する強力な化学療法中あるいは終了後に,HBe抗原陰性例の一部においてHBV再活性化によりB型肝炎が発症し、その中には劇症化する症例があり、注意が必要である。また,血液悪性疾患または固形癌に対する通常の化学療法およびリウマチ性疾患・膠原病などの自己免疫疾患に対する免疫抑制療法においてもHBV再活性化のリスクを考慮して対応する必要がある。
出典:日本肝臓学会,B型肝炎治療ガイドライン(第3.1版)

例えばリツキサンの添付文書には下記記載があります。

B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)で、本剤の投与により、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎又は肝炎があらわれることがあり…
出典:リツキサン添付文書

では、実際に化学療法開始前の確認プロセスを解説していきます。

HBs抗原陽性例

HBV-DNA量を測定、肝臓専門医へコンサルトし、核酸アナログ投与開始する。ウイルス量が多いと、核酸アナログ投与中でも劇症肝炎発症例もあり、化学療法や免疫抑制療法を開始する前にウイルス量を低下させておくことが望ましいです。薬剤耐性の少ないバラクルード、テノゼット、ベムリディの使用が推奨されます。

HBs抗原陰性例

HBs抗体、HBc抗体を測定し、共に陰性であれば問題ありません。

どちらか一方が陽性(ワクチン接種歴が明らかなHBs抗体陽性の場合を除く)であれば、HBV-DNAを定量します。20 IU/mL未満であれば1−3ヶ月ごとにモニタリング、20 IU/mL以上であれば肝臓専門医と相談の上、核酸アナログ製剤を投与します。

B型肝炎スクリーニング

私が勤務している施設では、化学療法目的で入院された患者さん、特に初回の場合は上述のスクリーニングが行われているかを確認します。化学療法継続患者の場合、HBs抗体、HBc抗体どちらか陽性の場合は定期的なHBV-DNAが測定されているか確認します。

未測定の項目があれば薬剤師が積極的に介入し、医師に測定をしてもらいます。意外と抜けていることがあるので薬剤師がフィルターとなるのです。

対象薬剤

添付文書上B型肝炎ウイルス再活性化について注意喚起されている薬剤

  • 免疫抑制剤(移植後に使用する薬剤や、アザチオプリンなど)
  • ステロイド剤
  • 抗腫瘍剤
  • 抗リウマチ薬
  • 抗ウイルス薬(C型肝炎治療薬など)

つまり、化学療法の治療をされる患者さんだけじゃないということです。
例えば潰瘍性大腸炎の患者さん。治療薬としてアザチオプリン、ステロイド、インフリキシマブなど検討されますよね。したがってB型肝炎ガイドラインに沿った対応が必要であることがわかります。

まとめ

いかがでしたか?
私が国家試験の勉強をしていた時は、B型肝炎のウイルスマーカーが出てくる順番の図を見て覚えていましたが丸暗記で意味を理解できていませんでした。現在は実臨床でガイドラインに沿ったスクリーニングを経験し、理解が深まっています。今回の記事がイメージできるきっかけになれば幸いです。

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