新しい第2世代抗ヒスタミン薬と眠気の比較

こんにちは、Kです。

最近ではスイッチOTCとしてアレグラやクラリチン、アレジオンなどドラッグストアで一般の方が購入できるようになってますよね。

抗ヒスタミン薬は用法(1日1回で済む)とか眠くなりにくいものがキーとなって選ばれることが多いですが、最近個人的にあまり使っていない知識で忘れてしまっているので整理していきます。
私が働き始めてからビラノアやデザレックス、ルパフィン、アレサガテープが登場したためそれについての知識整理も兼ねます!

2016年以降の抗ヒスタミン薬の発売状況

私が入職した年基準で申し訳ないですが、抗ヒスタミン薬は実際2016年以降続々と新発売されており、混戦となっています。

発売順に並べると…

ビラノア錠20mg     2016年11月
デザレックス錠5mg        2016年11月 ※2019年1月自主回収,2019年11月供給再開
ルパフィン錠10mg       2017年11月
アレサガテープ4mg / 8mg   2018年4月

3年の間に4剤も発売されているんですね!!
ではそれぞれの特徴について確認していきましょう。
※各薬剤のインタビューフォームの内容を整理していきます。薬価は2020年現在のものです。

ビラノア錠20mg

【成分名】ビラスチン
【適応】アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
【用法】成人には1回20mgを1日1回空腹時
【薬価】71.3 円

特徴
  1. 1日1回投与で、速やかなかつ持続的な効果発現が認められる。
    -スギ花粉曝露で誘発した鼻症状を投与45分から改善し、その効果は24時間持続
    ※Tmax 中央値1h , 半減期 10.54h
  2. 薬物代謝をほとんど受けずに未変化体のまま尿中(28.3%)及び糞中(66.5%)に排泄される
    ーP糖タンパク及びOATP1A2の基質であることが確認されており、エリスロマイシン、ジルチアゼムによるP糖タンパク阻害作用でビラスチンの血中濃度が増加することがわかっており、併用注意となっている
  3. 脳内H1受容体占拠率を検討した結果、大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠は認めなかった,自動車運転能に対する影響はプラセボと有意義な差を認めなかった
  4. 食事の影響
    食後投与では空腹時投与に比べCmaxが約60%低下、AUCが約40%低下

 

デザレックス錠5 mg

【成分名】デスロラタジン
【適応】アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
【用法】12歳以上の小児及び成人には1回5 mgを1日1回
【薬価】62.4円

特徴
  1. ロラタジンの主要活性代謝物
  2. 1日1回投与で食事に関係なく服用できる
  3. 代謝は主にCYP1A1及びグルクロン酸抱合が関与相互作用はエリスロマイシンが併用注意に設定されている。ただしエリスロマイシン,アジスロマイシン,フルオキセチン,シメチジンについて相互作用が検討されているがいずれも安全性及び忍容性において臨床的許容範囲内であった。
  4. 臨床的効果発現時間の記載はないが、5 mg単回投与時のデータは下記
    Tmax 中央値1.75 h, 半減期 19.5 h
  5. 脳内H1受容体占拠率のデータ記載ないが、自動車運転能力試験結果の記載あり、プラセボと有意差を認めなかった。
  6. 2019年1月に自主回収となっているが、これは製薬会社の薬事上手続き不備によるものであり、現時点で供給は再開済み。

ルパフィン錠10 mg

【成分名】ルパタジン
【適応】アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
【用法】12歳以上の小児及び成人には1回10 mgを1日1回。症状に応じて1回20 mgに増量できる。
【薬価】64.3円

特徴
  1. ヒスタミンH1受容体拮抗作用とPAF作用を併せ持つ
    ※PAF ( platelet activating factor : 血小板活性化因子)
    血管拡張や血管透過性の亢進、知覚神経刺激【即時型アレルギー】、白血球の活性化【遅発型アレルギー】などを誘導するケミカルメディエーター
  2. 代謝されるとデスロラタジンとなり、抗ヒスタミンH1作用に寄与する。
  3. 代謝は主にCYP3A4。他にCYP2C19及びCYP2D6で代謝される
    併用注意としてエリスロマイシン、グレープフルーツ、アルコールが設定されている。
  4. 臨床的効果発現時間の記載はないが10 mg単回投与時のデータは下記。
    ※Tmax 中央値0.91h, 半減期 4.76 h
  5. 10 mg単回投与で運転能力への影響は認められなかったが、20 mgで視覚に関する認知能の低下及び反応潜時の延長傾向が認められた。また、精神運動機能検査(中枢作用に関する客観的評価項目)では、プラセボと比較して、ルパタジンフマル酸塩 20mg 投与後、精神運動機能の低下が認められた。
    したがって、中枢神経抑制による影響が発現する可能性は否定できず、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意喚起を設定している。

アレサガテープ4 mg / 8 mg

【成分名】エメダスチン
【適応】アレルギー性鼻炎
【用法】成人には 1 回 4 mg を胸部、上腕部、背部又は腹部のいずれかに貼付し、24 時間毎に貼り替える。症状に応じて 8 mg に増量できる。
【薬価】4 mg 67.0円 / 8 mg 92.5円

特徴
  1. 世界で初めて承認された経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤
  2. 経皮吸収型製剤のため食前後を問わず服薬を開始できる。
  3. 血漿中薬物濃度を維持することが可能であり1日1回の服薬で24時間安定した効果が期待できる。
  4. 嚥下能力が低下した患者や誤嚥リスクのある患者へも投与可能である。
  5. 経皮吸収型製剤のため、肝臓での初回通過効果を受けない。相互作用は、鎮静剤やアルコールなど眠気を増強させる恐れがあるものが設定されている。
  6. 4 mg貼付1日目でTmax 20時間
  7. 国内臨床試験において、1,060 例中 52 例(4.9%)に眠気の副作用が発現(承認時)したため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意喚起が設定されている。

 

4剤のまとめ

ビラノアは効果発現の速さを謳っているけれども、空腹時服用が少し引っかかりますね。
デザレックスは発売当時は処方されていましたが自主回収の影響もあってかビラノアより処方量は少ない印象です(あくまで私の職場では)。他の現場ではどうなんでしょうか?もしわかる方いたらコメントいただけると嬉しいです♪
ビラノアとデザレックスでは眠気が起こりにくいので、薬価も比較対象になってくるのではないでしょうか。

ルパフィンは抗PAF作用という今までにない作用をもっていますね。アレサガテープは貼付剤という剤形特徴上速効性は期待できないかもしれませんが、コンプライアンス向上に役立ちそう…!

第2世代抗ヒスタミン薬比較~眠気~

では新薬について知識をブラッシュアップしたところで、今までの薬剤について思い出していきます。
患者さんにとっては眠気があるのかないのかが重要になってくると思いますので、その点で比較していきます!

ただし眠気だけではなく、「インペアード・パフォーマンス」すなわち「自覚しにくい集中力・判断力の低下」がより重要ですね。上記のルパフィンの項目で記載した内容が参考になります。

 

添付文書における自動車運転に関する記載

注意書き商品名
ビラノア
デザレックス
クラリチン
アレグラ
タリオン
エバステル
アレジオン
ザジテン
レミカット
アレロック
ジルテック
ザイザル
ニポラジン
アゼプチン

〇:添付文書に記載なし
△:自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意させること
✕:自動車の運転等危険を伴う機会の操作には従事させないよう十分注意すること

まとめ

いかがでしたか?腎機能低下時など比較するポイントはまだまだたくさんありますが、新薬の比較と眠気にしぼってお話してみました。
薬剤師の皆さんなら用法の違いはパッと出てきますよね?あらゆる視点を踏まえて患者さんへの服薬指導、医師への処方提案に役立てていただければ幸いです♪

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